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聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科 神奈川県川崎市宮前区

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留学記 abroad-201905

留学記 From Memphis, Tennessee

聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科 谷澤雅彦

 

2019年5月・6月レポート

昔を思い出すときには何か大きな出来事や切りの良い年齢を軸として考えることが多いと思いますが、私にとって新元号への移行は異国であるMemphisで迎えたため、令和元年のことはいつもMemphisでの生活を思い出すことだと思います。また帰国後令和〇年が、すなわち留学後年数を表す訳で、キャリアのリセット(=新しいキャリアが開始)となるような感覚にも包まれ妙な気持ちです。
帰国後には今回の留学で変わった自分がスタートするというよりは、臨床経験を約2年失っているわけで、研修医の気持ちで再度臨床中心の生活への“キャリアの再スタート”のスタンスを大事にしたいと考えている今日この頃です。

 

 


 

 

さて日本では天皇陛下即位に際し10連休の祭日があったと聞きましたが、もちろんアメリカにも祭日(federal holiday:米国全体の共通した祭日)があります。
2019年の祭日を羅列するとNew Year’s Day (1/1)、Martin Luther King Day (1/21)、Presidents’ Day (2/18)、Memorial Day(3/17)、ここから長らく空いてIndependence Day:いわゆるJuly 4th(7/4)、Labor Day(9/2)、Columbus Day (10/14)、Veterans Day (11/11)、Thanks Giving Day (11/28)、Christmas Day(12/25)が挙げられます。
Independence Dayは建国記念日、Labor Dayは勤労感謝の日と同じでしょうか?アメリカでは公的な祭日はたったの10日しかありません。日本は通常だと15日くらいありますので、休みが“大好きな”アメリカ人にしたら少ない印象です。
しかし、ここにはトリックがあり、地域ごとや宗教ごとに独特な祭日が追加されることがありますし、木曜日が祭日の際には金曜日も併せて祭日になってしまうことがあります。
例えばEaster Monday(4/22)、Day after Christmas Day(12/26)などがそれにあたります。またThanks Giving DayとIndependence Dayの次の金曜日が大体どこも休みです。

 

そして大人社会にはありませんが、子供達にはFall breakといって10月に1週間休みがあります。いままでに真っ暗なofficeに着いてから、『今日はそういう日か』、と認識し朝9時に帰宅することも数回ありました。
また物理的な休み以外にも、アメリカには“心のお休み”が存在します。
ほとんどのアメリカ人はThanks Giving Day以降は(精神的に)休みに入ってしまっていると言っても過言ではありません(言い過ぎですがやる気がなくなっています)。もっと言うと、July 4th以降は(精神的に)休みみたいなもん、と考える人もいるそうです。
これはアメリカあるあるで、日本人留学生は大体肌で感じていることと思います。

 

 

また昭和に東京の下町で、サッカーをやらせてもらえず、剣道をやっていた私には、キリスト教文化が中心のアメリカ独特の聞きなれない行事も多数存在します。
これを体験するのもアメリカ留学の醍醐味かもしれません。特に子供達は別に意味を考えるわけではなくとも、世界ではこういう“お祭り”が行われているんだと認識するだけでもいいでしょうし、意味を勉強し体験することもいいでしょうし、多様性の中で生きていく子供達には良い刺激となっていることは間違いありません。実際に肌の色が違っても、宗教が違ってもアメリカに住んでいる人達の多くは、深い意味は別として行事を楽しむという空気があり、“なんかいいな~”と思うところの一つです。

 

 


 

 

町が緑色になるSt. Patrick’s Day、グリンチで知られる絵本作家のDr. Seuss Dayでは赤白の長いハットをかぶり、町中に卵が落ちている(嘘です)Easter、アメリカで花火が上がるIndependence Day、だいたいのアメリカのお菓子がマズイことに気が付くHalloween、スーパーにこれでもかというくらい七面鳥が並ぶThanks Giving Day、その翌日のなんでも安くなるBlack Fridayなどが挙げられます。個人的にこれを実感・体感できるのは我が家の主戦場である100円ショップだと思いました。
これらの日が近づくと100円ショップには関連グッズが山の様に売られています。

 

若い頃は他の人が書いた論文から逆算してどういう過程を経てきたかなんて思ってもみなかったものです。ほとんどの論文は投稿から受理まで3か月から6か月、長いもので1年くらいかかるものもあります(もちろん、timelyなものはもっと早い)。
さらにその前にRQを立て、Study proposal作成、必要な項目の設定、データ集め、データクリーニング、解析、結果の解釈、論文作成、投稿、と複数のステップがあり、関係者が多ければ多いほど、相談、論文解釈、アドバイスなどのやり取りを経るので、倍はかかっている可能性があります。現在私は研究に100%時間をさける身なので、training中の身であることと、英語力などから進みが遅いということを考慮しても、とっとと成果を出している物だと考えていましたが、甘かったです。

 

実際に論文作成作業の裏側をコツコツ経験することで、この大事な気付きにたどり着きました(分かっていたけど、臨床中心の生活だったので、臨床で忙しいことを言い訳にしていたが、臨床がなくても時間がかかるということ)。この経験をもとに臨床に戻っても、コツコツ続けること(例えば、毎日50 words, 1 sentenceでも書ければ、3000 wordsの論文は2か月で書ける)、同時並行で複数進める(同じタイミングではなくあえてバラバラに)、叱咤激励できる上司部下と組む(やる気スイッチを押し合う)、継続する(一つ終わっても次に移る)ことで、時間はかかりますが『いつの時』から、継続して生み出せる体制が整うのだと思い、実践してみようと思っています。

 

 

最後にアメリカに来て12か月間の『自身の心境』は、“やっと自分の意志で走り出したが、ゴールはやっぱり遠いよね”、という心境です。
来た当初から企画していた研究は順調に進み、論文化もだいたい終了しました。これで一連の研究の流れを経験したことになります(reviseはまだ)。現在3本投稿し結果待ちですが、、、、やはり世間は厳しいですね。。
まだ結果には反映されていません。ですが、自分で一連の流れを実際にやってみて(ボスによる信じられないくらいの訂正が入っていることは言うまでもありませんが)、少しは地に足がついてきたかな?と思っています。
現在はボスがlife workとしてやっているRQをさらに拡大しようという新しい試みが始まりました。とてもtimelyでrelevantでimportantなテーマです。残りの時間はそれについてのlocal studyと大規模データベースを使った研究となると思います。

 

 


 

 

毎日1歩ずつ何かが進歩していれば、残り9か月(270日)のトレーニング期間で大きく成長できると信じて、とりあえず毎日を楽しみます。
次回はアメリカの夏休みと子供の学校のこと+自身の心境(これは毎回)についてレポートする予定です。

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